先日、ワインの試飲会とセミナーに参加して、フランスの生産者の方の話を直に聞く機会がありました。セミナーには3人の自然派の生産者が登場して、それぞれに面白い話。すごく勉強になりました。
ワインとは、気候、土壌、人柄を反映するものだということ。自然派は特にそうですよね。ヴィンテージによって同じキュヴェでも全く違うから。
この日のお三方は、
フィリップ・テシエ(生真面目で頑強な農民タイプ)
クリストフ・パカレ(若くて活発な雰囲気)
マチュ・ラピエール(素朴だが堂々とした感じ)↑上の写真
という風にそれぞれで、不思議とワインの味も人柄を反映しているように感じられました。いや、ほんとに。
マチュ・ラピエールは、フランス自然派ワインの巨匠マルセル・ラピエールの息子であり、現在はラピエールのワイン作りの現場を仕切っている人。そしてクリストフ・パカレは、そのマルセル・ラピエールの甥であり、ブルゴーニュ自然派のスター、フィリップ・パカレの従兄弟という血筋。この2人はともにブルゴーニュの南端、ボジョレーでワインを作っています。
僕が意識的にビオワインを飲み始めてから、最初に思ったのは、ビオは白が美味しいってこと。ドライでキリッとしているだけで個性の無い白ワインに慣らされてきた味覚には、ミネラルや凝縮感のある旨味たっぷりの白ワインが驚きでした。
そしてビオワインでもう一つ最初に思ったのは、重たくない赤ワインが本当に美味しいってこと。ピュアな果実味。軽いのにしっかり味がある。決して甘い訳ではなく、ブドウ本来の味を教えてくれる、そんな赤ワインがこれまた驚き。ボジョレーのマルセル・ラピエールがまさにそれでした。
ボジョレーと言えばヌーヴォーですが、決してそれだけではなく、熟成させたワインにも有名なものがあります。もっとも有名なのがマルセル・ラピエールの「モルゴン」でしょう。語るべきうんちくもその資格も持ち合わせていないので、以下はセミナーの時に試飲した2007年のモルゴンの感想です。
同じ2007年のマルセル・ラピエール・モルゴンの、SO2(酸化防止剤)添加微量と添加無しのワインの飲み比べという貴重な体験をさせて頂きました。マチュ・ラピエールが語っていたのは、ただ自然な方法で栽培や醸造をするからいいのではなく、ラピエールのドメーヌでは様々な努力と経験によって、天然酵母のみによる発酵をきちんとコントロールし、無濾過だからこそできる澱(おり)のおかげで酸化防止剤を添加しなくても醸造ができるのだということ。だからフィルターをかけて澱引きするなんて馬鹿げている、と言ってました。
少々マニアックな話になってきましたが、この酸化防止剤を加えた方と加えてない方の飲み比べ、びっくりするほどの違いがありました。加えた方も、1リットル当たりたったの35ミリグラムという微量なのですが、それだけでこうも違うのか、というぐらい。加えた方は少しタンニンを感じ、香りは閉じている。一方無添加の方は、最初から香り華やかで舌触りもなめらか。ピュアの極みのようなワインでした。「どちらが好きですか?」というマチュからの問いかけに対し、50名ほどの参加者全員がSO2無添加の方に手を挙げていました。
ちなみにNEWPORTでは、マルセル・ラピエールのモルゴン、SO2無添加のものを取り扱わせて頂いております。機会があればぜひお試しを。
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